平成23年6月8日(水)
やさしく生命(いのち)をまもるの理念の下で3月から錦秀会グループは福祉部、並びに Nishiki Coporation の職員を中心に被災地を直接訪問のうえ、救援物資のご提供、あるいは器材持込みで食事のご用意など、救援活動を継続的に実施致しております。前回からは当法人の医療チームも派遣し、医療機関として救援の幅を広げ、地域の皆様に心のやすらぎのひとときを感じていただけるよう努めました。今回は石巻市泊浜山王地区、並びに東松島市小野地区での救援活動を実施いたしました。当地ボランティアの撮影のご協力と活動参加メンバーの声によりご報告いたします。
6月4日(土) 石巻市泊浜山王地区
石巻市から南東へ約20キロ離れた牡鹿半島の泊浜山王地区は先般救援活動を実施した小渕浜のほぼ裏側に位置する小さな地域です。この地域も他の周辺地域と同様に津波により相当な被害をこうむりました。石巻市全体は甚大な被害をうけましたが地震発生2ヶ月後、市街中央周辺は充分でないものの比較的救援物資が届き、その配送状況も徐々に改善されています。一方で牡鹿半島の集落は中央からは20キロあまりの遠方地にあるほか、途中の道は地震の瓦礫の為まだまだ修復されておらず、地域の皆様が安心して生活できない状況でした。錦秀会グループは先般の小渕浜の地域の皆様のご意見や独自の情報を元にまずこの泊浜山王地区で活動をさせていただくことに致しました。(地図の赤いカーソルが活動拠点です。)
何もかもすべてを奪い去った津波。目をそむけたくなるその酷さが現実です。錦秀会グループの救援チームの想い、それは遠く離れ、ほとんど知られずじっと苦難と向き合っておられる人々こそ心のやすらぎを感じていただきたい。それは微力なものかもしれませんが、その思いは伝えたい。その素朴な気持ちを感じていただければ我々の本望です。
約3ヶ月経過しても泊浜の地域の皆様は男女問わず早朝から夕方まで毎日ガレキの撤去に追われ、疲労も極限の状態で本当に心が痛みました。そのような状況でのお食事と健康相談は地域の皆様に本当に喜ばれました。
「お肉は避難所生活からはほとんど口にすることができなくなりました。おいしい食事で心も癒されました。」と被災者の皆様から温かいお言葉をいただき大阪住吉から約1000km離れたこの地に駆け付けた甲斐があったと喜びます。
今回の救援活動にも当法人の看護師の笹森(阪和第一泉北病院)と河本(阪和第一泉北病院)の2名を派遣し地域の皆様の 健康相談を開催させていただきました。毎日のつらい日々の中で地域の利用者様の言葉にじっと耳を傾け、そして静かにうなずくことだけでも・・・心のケアになれば・・・と両看護師は願います。
食事のかたづけの合間に地域の子供たちとゲームをしながら優しく歓談し、子供たちへのこころのなごみにお役に立てればと思いました。向かい合う男の子の楽しそうなキラキラした目が印象的でした。
今回の泊浜山王地区も松川区長(写真中央緑の服の男性)他、地元の温かいボランティアの皆様の強力な共同作業により一連の準備やお食事のご用意もスムースに進みました。沢山の皆様にお越しいただき本当に胸が熱くなりました。あらためて皆様に御礼申し上げます。
6月5日(日) 東松島市小野地区
5日に訪問させていただいた小野地区は東寄りの平地にあるため陸前赤井地区と同様に津波が陸地に押し寄せた地域でした。被害を受けた陸地は広大であるので避難場所は充分とは言い難く、小野地区の被災者の皆様は命をつなぐ数少ない避難場所の一つである「小野市民センター」に身を寄せ、心細い想いで毎日を暮らしておられました。
地図を見ると津波が与えたその甚大な被害に言葉を失います。岬や島がない平地であることが災いし東西にむけて約20キロにわたり波が押し寄せ、波は陸地には5キロ余りも北上したのです。実際地区のすぐ隣にある航空自衛隊の松島基地の飛行機も津波で流され、そのテレビ映像を多くの方がご覧になられたと思います。(赤いカーソルが活動現場です。)
小野地区では他の地域と比べてより多くの地域の皆様にお越しいただきました。「温かいご飯だね。おいしい食事が食べられるのがなによりも嬉しい」と被災者の方からお言葉をいただくと胸が熱くなります。
やさしく生命(いのち)をまもるの理念は実際はどのようなことなのだろうか?両看護師は現実を前にその問いを自分に問いかけ貴重な経験の上で答えを見出そうとしています。健康診断はその貴重な実践の場です。その機会を与えて下さった地域の皆様に深く感謝をしたいと言います。
東松島の市民センターのスタッフの方々が錦秀会グループに救済活動の様子を収録した感謝画像を制作してくださいました。しかし、震災から約3カ月経過してもまだまだ充分物資が届かない地域がありその事実に驚かされます。
小野市民センターの救援活動の統括の担当をされている門馬様(写真左の白い服の女性)とスタッフ一同が救援活動を終えたひとときのショットです。門馬様、地域の皆様に厚く御礼申し上げます。
錦秀会グループの救援活動は梅雨を迎えました。しかし、躊躇することなく、苦難と向き合っておられる方々と共に歩んでゆきたいと思います。
錦秀会グループ