平成23年6月27日(月)
やさしく生命(いのち)をまもる の理念の下、錦秀会グループの救援活動は梅雨空の中、6回目目のレポートとなりました。今回は石巻市鮎川浜地区、並びに遠田郡美里地区での救援活動を実施いたしました。当地ボランティアの撮影のご協力と活動参加メンバーの声により引き続きご報告いたします。
6月18日(土) 石巻市鮎川浜地区
今回訪問させていただいた鮎川浜地区は石巻市から牡鹿半島方面に約20キロ以上離れた地域です。この地域は牡鹿半島のほぼ先端の地域で津波の被害も甚大でした。鮎川浜地区はごく小さな集落であり、約200名の皆様が公民館や集会所に避難され困難な生活を強いられておられました。ごく小さな集落であるがゆえに、また石巻市から遠く離れた牡鹿半島の岬の地域であることから物資は充分に行き届かず地域の皆様は日々複雑な思いを抱きながら困難と向き合っておられていたのです。錦秀会グループはこのような地域こそささやかな心のやすらぎを感じていただきたい…その想いで現場に急行いたしました。
地域住宅の二階にまで押し寄せた津波の恐怖。このような困難な中でも地元の人々は一条の光、明日を信じて健気に生活をしてこられていたのです。遠くの親戚より近くの隣人、その小さな地域の助け合いは阿吽の呼吸で色々な困難を越えてゆきました。私達の今回の救援活動はその一助にすぎないかもしれません。しかし、一時の地域の皆様の心のよりどころになれれば至上の喜びです。
今回の活動の拠点の牡鹿総合支所です。地元集落の皆様はお互いをいたわりあい、助け合って困難を乗り越えてこられてきました。しかし、地震発生から3カ月経過した今でも、このような小さな集落には手が届きにくい現実が冷酷に映ります。小さい地域であるがゆえに声がとどきにくいその無念な現実に錦秀会のチームは心を痛めました。
錦秀会チームでは前回の活動から管理栄養士2名を派遣いたしておりますが、現地は衣食住に不自由なく生活できるレベルにはまだまだ程遠く、生鮮食品はほどんど入荷できない状況が続いているとのチームからのレポートがよせられています。地域の皆様が食べられることに感謝されている光景に胸を痛め、普段当たり前の生活がどれほど幸せなことか…と痛切に感じたとメンバーは言います。私達ができることはほんのわずかかもしれませんが一時でも被災者の皆様が笑顔になってくださったことにチーム一同深く感謝したいと思います。((管理栄養士は前回 大塚(阪和第一泉北病院)・大藤(阪和病院)が担当、今回は向井(阪和病院)・杉田(阪和第二住吉病院)が担当させていただきました。)
巨大な船も流され、どうすることもできない事態。しかし、小さな力の集積が困難を乗り越え、そして多くの実りをも生み出すその力に錦秀会チームは多くを学びました。その活動で やさしく生命(いのち)をまもるの理念にまた新たな活力を与えて下さった地元の皆様に厚く御礼申し上げます。またこの地区に戻ってきたいと・・・後ろ髪を引かれるような思いで現地を後にしました。
6月19日(日) 遠田郡美里町地区
2日目は石巻市から北西に30キロ離れた遠田郡美里町での活動展開です。この美里町地域は津波が押し寄せなかったのことが唯一の救いでした。しかし、東松島市の沿岸部の被害が甚大なため沿岸部で生活の皆様は遠く離れたこの美里地区の避難所まで移動し、生活を余儀なくされていました。このような現実が広く知らされない地元の皆様は一体どのような思いで生活を続けておられるのでしょうか?錦秀会チームはこの現場にも早速急行致しました。(赤いカーソルが活動地点です。)
看護師の健康相談は活動地域で多くの皆様にご利用いただいています。血圧がずっと測っていなくて心配。今日は体温高い様な気がするわ。などなど、計測だけでなく健康のアドバイスを地域の皆様の会話を通じて行います。木漏れ日の様なさわやかさを念頭に、地域の皆様の気持ちになってがモットーです。看護師の松田(錦秀苑)と福田(阪和病院)が検診中です。
お食事の後片付けの合間に地元の子供たちとしばしの休息の1ショットです。南郷体育館には約150人の地元の皆様にお越しいただきました。梅雨空の中でも多くの方にお並びいただきお食事の用意に時間を頂戴いたしましたが、皆様の家族を思う気持ち、自分より残された方々へのいつくしみの眼差しにチームの皆が支えられ活動を無事終了することができました。お越しいただいた多くの皆様に温かな励ましのお言葉も頂戴し大変うれしく思いました。厚く御礼申し上げます。
日々の避難所のお食事の供給は自治体やボランティアの皆様の力によりされていますが、大量に用意する必要があり献立も画一にならざるをえないのが実情です。しかし、おいしく色々なものを食べたいのは人間の本質的な要求と思います。錦秀会チームの管理栄養士2名が、焼きすぎないようにあるいはおいしく召し上がっていただく味付けに工夫をこらし、心をこめて調理させていただきました。焼き立てはおいしい!その一言が全てを物語ります。
あじさいの花が梅雨の雨にぬれる中でも美里町地域の皆様は優しく復興に前向きでおられました。体育館の不便なお暮らしの中でも人と語り合い、慰め合い、共感を忘れない光景が私たちのこれからの職場活動の重要なメッセージとしていつまでも大切にしたいと思います。美里町地区の皆様に多くのものを学ばせていただきました。被災者の統括代表の高橋様(写真の黄色のTシャツの方)の他、地域の皆様に厚く御礼申し上げます。
救援活動という狭義の枠組みを超え、人と人との支え合い、そしてその根底に流れる本質を探り、錦秀会グループは多くを学びながら、これからも活動を続けます。
錦秀会グループ