平成23年7月7日(木)
やさしく生命(いのち)をまもる の理念の下、錦秀会グループの救援活動は健康相談・器材を持ち込みの上でのお食事の両面から各現地を訪問させていただき、今回は7回目のレポートとなりました。6月25日(土)は網地島地区、26日は新山浜地区で実施いたしました。当地ボランティアの撮影のご協力と活動参加メンバーの声により引き続きご報告いたします。
6月25日(土) 石巻市網地島地区
今回訪問させていただいた網地島地区は石巻市から船の利用で牡鹿半島方面に約20キロ以上離れた島です。石巻港から船で約一時間半を要する離島の厳しい立地条件のため、救援活動は当初自衛隊の力に頼らざるをえませんでした。この地域は約200名の皆様が、島の集会所に避難され、一日二往復の定期船の物資の運搬のみで細々と不安な日々を送っていらっしゃいます。錦秀会チームはこのような事実に目を向け、重なる厳しい条件の中でも救援活動の実施を決定致しました。
現地へは船でしか渡れず、物資は唯一その手段で運搬されます。そのため一度に運搬できる物資には限度があり島の皆様へ充分行き渡るにはより多くの運搬が望まれます。錦秀会チームは食材の野菜など現地調達できるものはできるだけ利用させていただきました。早朝から中央市場で買い付け、船に積み込みを行い鮮度の良い物を召し上がっていただけるよう留意いたしました。
錦秀会チームは石巻港から船で物資の運搬を行い、島からは、地元の皆様のボランティアのお力を得て活動拠点づくりを開始致しました。島での生活は陸地から離れている事情から、なかなか思うようにいかないと地域の皆様は残念に思われています。状況は改善されているとは言い難く、島で生活されている皆様の心に不安の影を落としていました。
さて、現地の「網地島公民館」に到着後、着々と準備を進め、器材と新鮮な食材によるお食事のご用意ができました。自衛隊の救援以外のボランティア活動は中心部からは陸路もなく海上輸送だけの事情から活動回数は少なくならざるを得ません。それゆえに今回の活動は地域の皆様から感謝と温かいお言葉を頂戴いたしました。お食事も約200名の皆様にご利用いただきました。
今回、錦秀会チームは6名からなるリハビリのチームを編成し、救援活動に参加いたしました。ご高齢な島の皆様には日々の体調が気がかりです。足、腰が思うように動かない不都合を改善できるよう専門的にアドバイスさせていただきました。リラックスしてのびのびと肩をもめば気持ちも少し晴れやかなると言います。阪和病院からは藤倉・柴坂・西川の3名が、阪和第二泉北病院からは山口・高木・木上が参加させていただきました。
お食事のかたずけの合間に皆様としばし、リクリエーションをして楽しみました。風船でのバレーボール遊びはことのほか皆様に好評でした。
地震の被害を受けながらも、つつましやかにお過ごしの島の皆様。いよいよ島を離れるときに「別れの歌」を皆様で合唱してくださいました。お名残惜しい別れの中にも、そのおおらかな笑顔はことのほか印象的でした。お一人、お一人、その素朴なお気持ちが錦秀会チームに優しく伝わり、「やさしく生命(いのち)をまもる」の大切な何かを身近に学ばさせていただきました。
網地島の皆様、本当にありがとう。その笑顔は私達の貴重な財産になりました。
島の皆様と錦秀会チームとの共同作業で救援活動は無事終了させることができました。地域の皆様が錦秀会チームを笑顔で温かく迎えて頂いたことにチーム一同厚く御礼申し上げます。また、物資の運搬については網地島ライン㈱ の定期連絡船にお世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
※網地島の皆様から理事長宛へお礼のお手紙を頂戴いたしました。厚く御礼申し上げます。
6月26日(日) 石巻市新山浜地区
2日目は陸地の牡鹿半島に戻り、以前訪問させていただいた小渕浜・泊浜地区の近隣にある新山浜地区で活動を実施いたしました。この周辺は入江が隣接しない地域で幸いなことに津波の被害がない地域でした。しかし、石巻の中心部から陸路を利用して現地へ到達するには想像以上に困難な地域でした。瓦礫や地震による土石が陸路を分断し通行止めの連続で、道路は地図の原型をとどめない非常に過酷な状況だったのです。しかし、錦秀会チームは分断する陸路もものともせず、地元の皆様の情報を元に進行をつづけ、苦難の末現地に到着することができました。
陸路の度重なる分断のために中央から手がほとんど届かない新山浜地区。新山浜生活センターが約100人ほどの地域の皆様の生活の砦となっていました。地震の被害がすべてを遮る場所での生活は地域の皆様に途方もない不安を与えています。しかし、そのような活動拠点で人々がこぞって、いたわりあい、語り合い、お互いの支えになっている場面を目にして、錦秀会チームは人の優しさの本質を垣間見たと思います。それは上手く形容もできず、ひよっとしたら日常生活で忘れられることかもしれないけれど、我々が未来永劫に受け継ぐべきものと確信いたしました。
お食事の準備が整い、地域の皆様に、順次召し上がっていただきました。「焼き立てはおいしいね!」「遠路はるばる大阪からきていただいてありがとう。」その一言でいつも錦秀会チームはうれしさとともに、疲れも癒されます。言葉の持つ不思議な力。それは普段の医療活動でも大切にしたいと思います。
新山浜地区の皆様と錦秀会チームと語らいのひとときです。語り合い、共感を呼び、お互いの気持ちを確かめあうひとときはとても大切な時間と思います。地域の皆様に語っていただく中で鬱積したお気持ちがすこしづつほぐれていけば・・・なによりと思いました。
今回ももちろん、看護師の健康相談を開催させていただきました。地域には医療機関が充分でなく常駐ではないことから、より多くの医療支援活動が望まれます。健康相談は予想以上にご利用いただきました。地域の皆様に厚く御礼申し上げます。今回は遠香(阪和記念病院)と栗脇(阪和第二住吉病院)の2名の看護師が現場に急行致しました。島の皆様のお一人、お一人、手をとって診断させていただくと地震の後片づけの厳しさが散見され、心が痛みました。苦難と不安の心のひだを一つ一つ丁寧にときほぐすように静かに語りかけながら、検診させていただきました。
活動拠点では梅雨開けがまじかなような気配がただよいます。夏の日差しの太陽は容赦なく被災地に照りつけます。しかし皆様の健気でお互いに支え合うそのお気持ちに錦秀会チームにも活力を頂戴し活動に力が入りました。地域の皆様のご協力に厚く感謝いたします。
錦秀会チームは やさしく生命(いのち)をまもるの理念に支えられ、大海原の高波、 瓦礫の陸路をも乗り越えて これからも救援活動を続けます。被災地の皆様の傍らにそっといてさしあげたい想いから・・・。
錦秀会グループ